2011年02月05日

保育ママ:法人運営の保育ママって? 待機児童解消へ都市部で注目

 3歳未満の乳幼児を中心に自宅などで預かる家庭的保育(保育ママ)制度が、保育所不足を補う対策として注目されている。保育ママは、保育士や、研修を受けて市町村の認定を受けた人たちだ。2万人を超える待機児童の問題を和らげるため、国や自治体は保育ママ支援の取り組みを強化し始めている。現状はどうなっているのだろう。【山崎友記子】

 ◇保育者複数擁し規模拡大/「研修充実必要」の指摘も
 「消防車が来たよ」。3歳の男児2人が積み木を長くつなげた「道路」の上にミニカーを走らせる。その脇で、1歳の女児が保育士のひざの上に座り、ゆったりと絵本を読んでもらっている。横浜市港北区の賃貸マンションの一角にある「おうち保育園ひよし」には、保育士の資格を持つ3人の保育ママがいて、乳幼児を9人まで預かることができる。開所は昨年の10月。2歳の長男を預けている派遣社員の母親(36)は、「育児休業明けで職場復帰したが、保育所に空きがなくて困っていた。入園できて本当に助かった」と話す。

 通常、保育ママとして自治体が委託するのは、乳幼児を自宅で預かることができる個人だが、「ひよし」は、横浜市がNPO法人に委託した新しいタイプの保育ママ事業だ。法人が複数の保育者や補助者を雇用し、マンションや家屋を借りて実施するため、個人の保育ママよりも、定員を増やすことができる。

 「ひよし」を運営するNPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表は「賃貸物件を使う小規模保育は、初期投資に150万〜300万円、4カ月あれば開設できる。費用も時間もその数倍かかる認可保育所と比べ機動的に対応でき、待機児童解消に有効」と自信をみせる。

 法人に委託する保育ママ事業は、待機児童が多い東京都江東区や品川区も導入を始めている。世田谷区では今年度から、認可保育所を経営する社会福祉法人に委託し、園周辺の賃貸住宅6カ所に保育ママと補助者を配置して計30人の子を預かっている。

     *

 保育ママは、家庭的な環境のもと、子ども一人一人に目が届きやすく、柔軟な対応ができる保育と評価されている。しかし、実施しているのは全国で77市区町、利用者は約2600人と認可保育所の0・1%にとどまる(09年度)。住宅事情が良くない中、個人で保育場所を確保するのは難しく、1人で子どもをみる場合は休みが取りにくいなど担い手の負担が重いためだ。また、保護者側には「密室保育」になるという不安もある。NPO法人などが委託を受け、複数の保育ママがいれば、こうした不安や担い手側の負担を減らすことができる。

 政府の「待機児童ゼロ特命チーム」が昨年11月末に打ち出した待機児童解消策の中でも、保育ママ制度は対策の柱の一つになっている。自治体の独自事業の歴史が長い保育ママは、00年から国が一部補助を開始。今年度から国の制度に格上げされ、▽保育場所は9・9平方メートル以上▽連携する保育所を確保する−−などのガイドラインができた。

 特命チームは、保育場所の賃貸料の補助(現在月5万円)の増額や、改修費(上限200万円)の補助率引き上げを提言。補助対象の条件を緩和し、複数のママによる保育(定員9人)を進めて、14年度には利用者数を1万9000人まで増やすことを目指している。

 ただ、認可保育所など大きな組織と違い、少人数の保育ママの資質が保育の質に直結する。体調管理が難しい生後数カ月の赤ちゃんを預かるケースも多い。昨年9月には神奈川県内の保育ママが預かっていた生後4カ月の子が昼寝中に死亡する事故もあった。

 保育ママ歴28年で、NPO法人家庭的保育全国連絡協議会の鈴木道子理事長は「保育所の保育士でも0歳児保育の経験者は多くない。家庭でみるようにできるからと安易に参入するのは問題」と語る。乳幼児の安全を最優先すべきだと指摘し「安全確保のための研修は手厚くしていくべきだ」と話している。

毎日新聞 2011年1月14日 東京朝刊

posted by 旧町田市無認可保育室連絡会 at 00:29| Comment(1) | 行政への提言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月23日

なぜ待機児童は減らないのか?――JPホールディングスが保育事業に参入した理由

なぜ待機児童は減らないのか?――JPホールディングスが保育事業に参入した理由
Business Media 誠 1月14日(金)11時14分配信


待機児童数推移(出典:厚生労働省)
 現在、日本が抱える課題の1つに、大都市圏を中心とする「待機児童」の問題がある。【嶋田淑之,Business Media 誠】

【拡大画像や他の紹介画像を含む記事】

 厳しい経済環境下、小さな子どもを抱えながらも夫婦共稼ぎをせざるを得ない家庭や、離婚率の上昇でシングルマザーとなった女性の数は年々増えている。ところが、子どもを預かってくれる保育園を見つけるのは、絶対数が不足しているため非常に難しい。また、やっと見つけても、基本的に夕方になれば仕事の途中でも子どもを迎えに行かないといけないなど、利用者の置かれた就業環境にそぐわなくなっているのが保育園の現実である。

 何年も前から問題視されながら一向に改善されない、保育をめぐる状況。この状況を変えようと、2001年に他業界から保育業界に参入し、トップ企業へと成長させた人物がいる。それが今回の登場人物である山口洋(やまぐち・ひろみ)さん(49歳)だ。山口さんはJPホールディングスの代表取締役として、保育園などを全国展開する日本保育サービス、その給食部門を請け負うジェイキッチン、英語・体操・リトミックの指導を請け負うジェイキャストなどの企業群を率いている。

 山口さんの活動は民間だけにとどまらず、厚生労働省や内閣府などの委員や有識者に選出されていて、国の政策面からも保育問題の解決に取り組んでいる。

 独身者はもとより、小さな子を持つ親であっても意外と知る機会のない保育業界の実態とはどのようなものなのか。待機児童をめぐる問題の背後には、どのような業界事情や業界体質が存在しているのか。そして、山口さんはそれをどのように変えてきたのか。今後、どのように変えようとしているのだろうか?

●待機児童の実数は80万人以上

 「厚生労働省の発表によると、日本の待機児童数は前年度比891人増(3.5%増)の2万6275人(2010年4月1日)となっています。しかし、それは実際に空きを待っている“顕在化した数”であって、その陰には、こうした実態を目にして最初からあきらめてしまっている“潜在的な顧客”がその何十倍も存在するのです」

 そんな潜在的な待機児童は大都市圏を中心に80万人以上いるとも言われる。では、行政の施策や民間企業の積極参入をうながすなどして保育園の数さえそろえれば問題は解決するのだろうか?

 「いや、そうではないんですよ」と、山口さんは苦笑し嘆息する。山口さんは2つの問題点を指摘した。

 1つ目は業界に根強い顧客軽視の体質。これを変革しない限り、数だけ増やしても顧客のニーズを満たすことはできない。

 2つ目は既得権益にしがみつき、企業などの新規参入を嫌う業界の体質。経営学で言うところの「よそ者拒否シンドローム(=Not Invented Here)」である。これも変革しない限り、企業の積極参入をいくらいながしてみたところで参入は進まない。

 日本の保育園は長い間、公立と、私立の主として社会福祉法人立によって運営されてきた。それが2000年の児童福祉法改正と、2003年の指定管理者制度の導入によって、株式会社でも私立保育園の設立や運営が可能になるとともに、公立保育園の受託運営を行えるようになった。

 しかし、2009年4月時点でも公立1万1008カ所に対して、1万1917カ所ある私立の89.3%が社会福祉法人立で、株式会社立は1.3%(157カ所)に過ぎず、民間企業の参入が進んでいないことが裏付けられる。

 山口さんが指摘した保育業界特有の「顧客軽視」「新参者排除」の体質。そこで、具体的に何が起きているのかお聞きしてみた。

●働く女性を批判する保育園の論理とは?

 「もちろん立派な経営をされている保育園もありますが、一般的な傾向として言えば『夜は仕事をしたくないので夕方までしか預からないし、日曜や祝日は仕事をしたくないので子どもを預からない』というのが業界の体質です。だから、保護者会や運動会を平気で平日の昼間にやるんですよ。働いている人を支援するために存在するのが保育園なのに、働いている人の事情をまったく考慮せず、自分たちの都合だけで運営しているところが多いんです。

 延長保育はせいぜい19時までで、それも内心快く思っていないので、そういう気持ちが子どもや保護者に対する態度となって露骨に表われるんです。まして休日保育をやっているところなんてほとんどありません。許せないですよ」

 憤まんやるかたない表情で山口さんは言葉を継いだ。

 「しかも、保育園側のそうした運営姿勢が多くの子どもや保護者を苦しめていることに関して、自分たちの責任だとは認めず、逆に保護者に責任を転嫁して面と向かって彼らを非難するのですから話になりません」

 厳しい経済情勢下、共稼ぎで頑張っている女性たち、さらには離婚率の上昇に伴い急増しているシングルマザーたち。彼女たちは月〜金曜の9〜17時に仕事をし、定時退社で子どもを迎えに行ける環境にある人ばかりだろうか?

 もちろんそういう人はある程度いるものの、男女雇用機会均等法以降の流れを考えると、決して圧倒的な多数派とは言えなくなっているだろう。とりわけ2003年に総計122万世帯を突破したシングルマザーたちには非正規労働者が多く、日曜や祝日も関係なく働き、あるいは夜間勤務の仕事に従事している人も少なくないのが現実だ。

 「保育園の経営者たちには、そうした厳しい立場にある人たちや、夜遅くまでの延長保育や休日開園など保育園のサービス内容改善を希望する人たちに対して、『何でそんな仕事をしているのか? 子どものためを思うならば、月〜金曜の9〜17時の仕事に就け』と平気で言い放つ人が多いのです。何かというと『子どものため』と言いますが、自分たちのためでしかないのです」

●新参者排除の論理の裏にあるものとは?

 「もともと保育園は公立と社会福祉法人立だったと先ほど申し上げましたが、社会福祉法人と言っても、その実態はプライベートセクターで“社会の公器”としての自覚に欠けるところが多いのです。多くは地元の名士が運営しており、代々世襲するのが通例です。地域での競争が存在しない独占事業なので、サービス向上を図るという発想はありません。

 行政から運営費が出るので、行政から言われた通りにやってさえいれば、何世代にもわたって無税で給料が入り続ける構造になっているんです。固定資産税もなしですよ。これぞまさに既得権益ですよね。“おいしい収益マシーン”ですから、決して手放したくはないし何も変えたくはないんです。

 給食のメニューすら自分たちでは作らず、行政が作ったメニューをそのまま使用しているケースも多いですからね。世間を震撼(しんかん)させた中国毒ギョーザ事件の時だって、あのギョーザを仕入れていた保育園もあったんです。幸いにして園児に被害はなかったようですが。

 それだけではありません。入園する子どもの数が減ろうものなら、自分たちの無為無策を棚にあげて『行政の責任だ』と言ってクレームを付けたりするんです」

 これが実態であるとするならば、既存の保育園が既得権益を守るために新参者を排除しようとするのもうなずける。具体的にはどのようにして排除に動くのだろうか?

 「新規参入した企業が、子どもや保護者の目線に立ったサービスを提供しようとするとしましょう。もしそんなものができたら、既存の保育園は自分たちが世間から批判されることになるので、それが嫌で行政に対してクレームを付けるのです。社会福祉法人は行政への発言力の強い地元の名士が運営しているケースが多いので、行政としても彼らからの圧力は無視しにくいという事情があるのです」

 こうした自己保身のための圧力や妨害によって、利用者目線に立ったサービスを志す者は、保育業界への参入を阻止され、あるいは撤退を余儀なくされる。そして、待機児童問題はますます深刻化することとなるのだ。

●保育業界参入を支えたコーヒーサービス事業

 そんな新参者の1人であった山口さんも、相当に厳しい状況に置かれたようだ。もし、最初から保育事業1本でやっていたら、撤退せざるをえなかったのではないだろうか。

 「その通りです。私の場合、赤字続きの苦しい時期でも、それを資金的に支える事業が別に存在したので頑張り続けることができたのです。あれがなかったら保育事業への本格参入は無理だったと思いますよ」

 山口さんは明治学院大学法学部を卒業した後、大和証券で営業マンとして勤務していた。しかし、バブル崩壊直後の1992年に退職。翌1993年に名古屋でジェイ・プランニングを起業、オフィス向けのコーヒーサービスを開始する。

 元来パチンコ好きだった山口さんは「パチンコに熱中している時に女性スタッフがコーヒーを売りにきてくれたら良いのになあ」と思っていたという。そこで、自社でその前例のない事業にチャレンジしようと考えて、パチンコ店でのコーヒーワゴンサービスを始めると、狙いは的中し事業は急成長。2002年にはJASDAQでの株式上場を実現する。

 この間、社員の多くを占める女性たちの福利厚生の一環として2000年に託児所を開設。翌2001年には、日本初という年中無休の大型保育園を埼玉県に開園して保育業界に参入する。それ以後、赤字続きながらも事業拡大を図ったのだが、このビジネスを資金的に支えたのが、パチンコ店でのコーヒーワゴンサービス事業だったという。

 そんな保育ビジネスも2007年ころからようやく軌道に乗り始め、将来へのメドも立った2010年、山口さんは社業を保育ビジネスに一本化する決意を固め、コーヒーサービス事業を売却したのである。

●社長業のかたわら大学院で児童学を学ぶ

 ここまで述べてきた日本の保育業界をめぐるさまざまな問題を踏まえ、山口さんが打ち出した経営方針が利用者目線に立ったものになったことは言うまでもないだろう。

 「保育のお手本を作り、日本の保育のあり方を変革したいと考えています」

 その言葉を裏付けるように、山口さんは深夜までの延長保育や一時保育、あるいは休日保育、さらには年中無休を実現するなど、社会的ニーズや地域特性に対応したサービスを提供しているようだ。

 しかし、保育事業の難しさはそうした経営者的視点と同時に、教育者としての専門的視点がなければいけない点にもあるのではないだろうか。

 「そうなんです。私は当初、経営者的視点から事業に取り組んでいたのですが、保育士など部下たちから、保育に関する専門的視点に立った主張をされると反論できなかったのです(笑)。そんな自分自身を猛省し、43歳にして大学院に入学して、2006年には児童学の博士課程(前期)まで修了しました」

 そうした努力のたまものからか、山口さんの提供する教育サービスは、子どものいない筆者から見ても興味深い内容となっている。いくつか例を挙げてみよう。

 就学前の年齢の子どもたちの場合、発達段階に差があることは決して珍しくはない。しかし、発達が遅れぎみの子どもを持つ保護者の不安や悩みは深い。そこで山口さんは、そんな子どもやその保護者のために、臨床心理学や教育学の専門家6人による発達支援チームを編成して、全国の保育園を巡回して彼らのケアに当たらせているという。

 またアレルギー対策として、JPホールディングスでは保育園設置に先立っての土壌調査、周辺環境調査を徹底しているという。それに加えて、施設内での空気の滞留が感染症の原因になるということで、地下100メートルの地熱エネルギーを活用し、園内に絶えず新鮮な超微風が流れ続けるシステムを導入している。

 さらには、和式トイレ育や箸育を始め、保護者家庭と一体となったしつけの実践にも取り組んでいる。そして何より力を入れているのが、食や食育へのこだわりである。

●「給食のトラウマ」が生んだ食育

 「私は小学生のころ、給食が大嫌いだったんです。まずくて、まずくて、毎日、食べずに捨てていました。卒業文集のテーマも『給食』でした(笑)。中学校に入って一番うれしかったことは、もう給食を食べなくて済むことでした。

 そんな私ですから、保育園の給食には徹底的にこだわっています。舌の肥えた大人から見ても、“見た目に美しく味も絶品”と言える給食を実現していると自負しています」

 JPホールディングスでは2009年から食育専門指導員を招聘して、保育園の園庭や近隣農地で野菜などの種まきから栽培・収穫・調理までの計画立案を行う農業食育プロジェクトをスタートさせた。園児が指導員と一体となって畑仕事をし、それを給食で食べるのである。

 「米については秋田の生産農家と直接契約して、あきたこまち100%のノンブレンド米を使用しています。そうした農家での稲刈りには私を含めた社員たちが参加し、精米した翌日には全国の弊社施設に送っています。トレーサビリティという点では完璧です」

 給食を含め、園内で使用する水にもこだわり、高純度の軟水(ハワイアン・ウォーター)だけを使っているという。

 「調理に関しては管理栄養士たちがいくつかのチームを作っていて、地産地消を原則にして、和洋中などさまざまなメニューをチーム単位の回り持ちで作っていくようにしています。『今度はどんなおいしい料理で子どもたちを喜ばせてあげようか』と、みんなで味覚を鍛えながら調理の技術やセンスを磨いて、一生懸命、新しいメニューを作り出すんです」

 そこには「未就学児童にはタコさんウインナーでも食べさせておけばよい」「栄養バランスさえ考えておけば味はそこそこで十分」という子どもを見くびった姿勢はない。

●学校や保育園がモンスターペアレントを育てている

 こうした利用者目線に立った保育園経営は園児やその保護者から支持されているだろうが、昨今大きな話題になっているモンスターペアレントの問題は発生していないのだろうか?

 「弊社では全国の保育園で5700人ほど、児童館や学童クラブまで入れると8000人ほどのお子さんをお預かりしています。しかし、社長である私が出動しなければいけないようなケースは年間1件あるかどうかという程度で、いわゆるモンスターペアレントの問題はほとんど生じていません」

 とは言っても、どんなに立派な教育をしても、いかにすばらしいサービスを提供しても、モンスターペアレントは出現するかのごとく世の中では言われているが……。

 「いえ、それは違うと思います。モンスターペアレントは、学校や保育園が育てるものなのです。企業を悩ませるいわゆるクレーマーも同じことです。企業がクレーマーを育てているのです。最初からモンスターペアレントやクレーマーだったという人は、ごくごく少数です。それなのにモンスターペアレントやクレーマーが育っていくのは、学校や保育園、あるいは企業がいい加減に対応し、平気でうそを言い、ごまかしてばかりいるからなんです」

 では、そうしたモンスターペアレントが育たないようにするために、山口さんは保護者に対してどのように対応しているのだろうか?

 「毅然と対応することが大切だと考えています。もし被害を与えたのなら、逃げずに、きちんと対応する。しかし、だからといって、お客さんの奴隷になってはいけない。

 例えば、保育園内で園児同士がぶつかって、片方の子が軽いけがをしたとしましょう。お子さんがけがをして痛かったことについては謝ります。でも、けがをしたそのこと自体に関しては謝りません。

 また、以前こんなことがありました。あるお子さんが保育園から帰ると39度を超える高熱を出していたということで、その保護者の方が保護者会で保育園の責任を激しく追及されたのです。要するに『保育園の過失によって子どもが高熱を出した。だから責任を取れ』ということですね。しかし、私たちから見ると、帰宅後ずいぶん経ってから発熱したことは明らかでした※。

※JPホールディングスの運営する保育園では子どもが37.5度以上の発熱をした場合には、直ちに保護者に連絡し、園が子どもを預かるか、保護者が迎えに来るか相談をすることになっている。

 私はその保護者の方にこう言いました。『ちょっと待ってください。もし、保育園で高熱を出したのであれば、お母さまが迎えにいらしてお子さんを抱きかかえた時点で、母親として当然そのことにお気付きになるはずですよね。ところが、帰宅後ずいぶん経ってからしか異変に気が付かなかったのだとすれば、それは母親失格なのではありませんか?』と。すると、その場にいた保護者の方々から拍手が起こったのです」

●今後の目標は児童養護施設の運営

 いまや保育ビジネスの民間トップ企業に成長したJPホールディングスだが、山口さんは今後、どこまで成長・拡大させていくつもりなのだろうか?

 「数値的な目標は設けません。あくまで日本の保育を変革することが目的なので、そこに向かって突き進んでいくのみです。

 企業としての社会的な信頼度を上げる必要性を感じて、2002年に株式を上場しました。上場したことによって、株主からは短期利潤を求められることもありますが、そういう時に私ははっきりとこう宣言します。『日本の保育を変革することを目的にしているので、短期利潤の追求はしません。もし、それにご不満なら株を売却してくださって結構です。あるいは弊社株式の過半を買い取って私を解任してください』と。

 このような企業姿勢は、海外のいわゆる社会投資家からは高く評価されていますが、実際、こういう姿勢で経営する方が企業としては安定的に成長しますし、結果として株主の利益にもなると私は考えています」

 事業内容の面では次の目標はあるのだろうか?

 「児童養護施設を作ろうと考えています。2000年に女性社員の福利厚生としてパチンコ店に併設する形で託児所を設置し、パチンコ店の店員やお客さまも含める形で無料開放したのはお話しした通りですが、実はその当時から児童養護施設を作りたいと考えていました。

 というのも、シングルマザーとして働いている女性には、苦しい生活を続ける中で子育てが負担となって子どもの虐待に走るケースが少なくないことを目の当たりにしていたからです。彼女たちの負担を少しでも減らしてあげたいということもあって託児所を作ったんですよ」

 確かに待機児童と並んで、児童虐待は現代日本が抱える深刻な社会問題である。虐待から子殺しへとエスカレートするケースもしばしば報道される。

 「保育園に来られる子は幸せなんです。それに比べ、児童養護施設に来る子は社会の底辺の子どもたちであり、私としても何とかしてあげたいのです。100%赤字になりますが、それでも、ぜひやりたい。そして、児童養護施設運営の1つのプロトタイプを作りたいと考えています」

 最後にこれから子どもを保育園に入れるかもしれない読者の方々に向けて、良い保育園の見分け方を聞いてみた。

 「子どもたちと先生方の表情を見てください。イキイキと楽しそうな表情の保育園はいいと思います。逆に先生が怒ってばかりいるところや、規律で縛っているところ、子どもたちの表情が明るく輝いていないところは避けた方がいいと思います」

 顧客を軽視し、既得権益にしがみつく保育業界に参入し、挑戦を続けるJPホールディングス。待機児童や児童虐待という問題の解決を含め、日本の保育業界を抜本的に変革することができるのかどうか、今後も注目していきたいものである。


最終更新:1月14日(金)11時14分

posted by 旧町田市無認可保育室連絡会 at 13:54| Comment(0) | 保育園業界 問題点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月22日

待機児童解消へ住宅で保育事業、市内6施設で開設/横浜

8月21日8時0分配信 カナロコ

 保育所待機児童の解消を最優先課題に位置付ける横浜市は、新たな施策として「家庭的保育事業」をスタートさせる。保育施設として一般の住宅やマンションなどを活用し、NPO法人などの事業者が担い手となる。多様な子育て支援策の一環。保育料は認可保育園に準じ前年の世帯所得に応じて決定する。

 事業化に当たって、市は6月に委託事業者を募集、当初は3施設程度の開設を想定していたが、予想を上回る19法人・22施設の応募があり、旭、港北、青葉、戸塚、泉の5区6施設での事業開始が決まった。9月6日以降、各事業者が順次、施設を開設する。対象は横浜市民で、認可保育所に入所できなかった生後8週間以上3歳未満の児童。1施設当たりの定員は9人。

 市は従来、保育士などの資格を持つ人を家庭保育福祉員として認定し、個人の住居などで少人数保育を行ってきた。新たな事業は家庭的な環境で保育の場を確保しながら、NPO法人などが持つ保育事業のノウハウや人材を活用し、待機児童解消の一助にする狙い。

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東京都江東区、練馬区でも同様の試みを行っています。

以前町田市にも同様の施策を相談しにいきましたが、「町田市だけの
判断ではできない。東京都の承諾を取らないと。」と棚上げにされま
した。実際、東京都江東区や練馬区では行えているという事は、町田市
が積極的に取り組んでいない、取り組みたくない事情があるのでしょう。

(ちなみに、厚生労働省の通達により努力義務とされている
認可外保育園の一覧を町田市webに掲載する件について、催促しても
町田市からの返答はまだありません。)

行政によって、子育て支援の施策は大きな差になります。
「上(行政)がやってくれるはず。」そんな時代は終わり
自己責任の時代に突入しています。何事も事前に調べて
行動したいですね。

南町田みつたま保育園 事務長
posted by 旧町田市無認可保育室連絡会 at 15:12| Comment(7) | 保育園業界 問題点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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